高知県を流れる仁淀川(によどがわ)。透明度の高さから「奇跡の清流」として知られ、その澄んだ水が見せる美しい青色は、「仁淀ブルー」と呼ばれています。
池澤鮮魚では、仁淀川で育った天然鮎のうち、一尾ずつ友釣りで釣り上げたものだけをお届けしています。
川を泳ぐ鮎が、どのように釣られ、どのように扱われて食卓へ届くのか。仁淀川で鮎を釣る釣り師の高野さんと、天然鮎の卸を営む岸本さんにお話をうかがいました。
(取材・写真・テキスト:店長高井)
小学5年生から鮎釣りを続ける高野さん
釣り歴30年の鮎釣り師・高野さん
まずお話をうかがったのは、鮎釣り師の高野さん。
小学5年生の頃から鮎釣りを始め、そのキャリアはなんと30年。仁淀川の鮎釣り大会でも上位入賞するほどの腕前です。
「鮎釣りのコミュニティやブログを普段から確認し、どこで釣れていたか、人が多かった場所はどこかを見てポイント(=釣り場)を決めています。前日に人が多く入った場所は、あえてあまり行かないようにしています」
鮎を釣り上げるのはもちろん、釣る場所を決めるところにも、長年の経験がいかされています。
天然鮎を一尾ずつ釣り上げる友釣り。おとり鮎を元気に泳がせる
友釣りは、鮎が縄張りに入ってきた別の鮎を追い払う習性を利用した釣り方です。
おとり鮎を川で泳がせ、縄張りを持つ天然鮎が体当たりしてきたところを、掛け針で釣り上げます。
高野さんが特に大切にしているのは、おとり鮎を弱らせないこと。
「おとり鮎が元気でないと狙った場所へ泳いでいかず、天然鮎にも追われにくくなります」
天然鮎を狙った場所で釣り上げるため、おとり鮎の状態にも気を配っています。
傷の出方は一尾ずつ違う。鮎を綺麗に保つ熟練の技術
友釣りで針が掛かる場所は、いつも同じではありません。
高野さんによると、背中や腹、尾の近くなど、体当たりの角度や勢いによって変わるのだそうです。
「浅く掛かり、傷がどこにあるのかわからないくらいに綺麗な鮎もあれば、掛かり方によって少し傷が残る鮎もあります」
だからこそ高野さんは、針がどこに掛かっても、できるだけ身を傷めずに寄せられるよう、竿さばきに気を配ります。
「鮎を傷めないよう、針に掛かったあとも、力任せに引かないようにしています。竿のしなりと川の流れを利用し、鮎の動きをいなしながら慎重に寄せていきます」
鮎が掛かると、巧みに竿を動かして、鮎を寄せていく高野さん。最後にタモ(=網)へ取り込む瞬間まで気を抜くことなく、丁寧に鮎を釣り上げる姿が印象的でした。
道具のひとつひとつにも気を配る
もう1つ、綺麗な鮎を釣り上げるために高野さんが意識しているのが、道具です。
高野さんによれば、鮎釣りの道具は、5年も経つと大きく変わるほど進化が早いそうです。今の竿は軽くてしなりも良く、針も刺さりやすさや形状、精度が向上しているといいます。これにより、無理に引っ張ることなく丁寧に鮎を釣り上げられるようになったのだそうです。
さらに高野さんは、ポイントや時期、その日の鮎の大きさや流れを見て、竿の長さや仕掛けを選択。
「小さい鮎を数多く釣る場合と、数は少なくても大きい鮎を狙う場合では、使う竿や仕掛けも違います。ここに経験が表れます」
こうした鮎釣り師の技術と道具の進化が合わさることで、綺麗な鮎をお客様にお届けできています。
釣った鮎は生きたまま岸本さんへ
釣り上げられた鮎は、生きたまま、天然鮎の卸を営む岸本さんに届けられます。池澤鮮魚の鮎も、岸本さんを通じて仕入れています。
今回の釣り場から岸本さんのところまでは、車で10分もかからない距離。釣りを終えたばかりの高野さんの手で、生きたまま持ち込まれます。
「鮎を弱らせず、釣ったときの状態をできるだけ保って渡すようにしています」
川で釣り上げるところから、引舟や鮎缶での扱い、岸本さんのところへ持ち込むまで。最後まで高野さんは鮎の一尾一尾へ気配りをされていました。
池澤鮮魚の天然鮎がお届けされるまで
なお、池澤鮮魚の天然鮎は、ご注文をいただいてから店長の高井が岸本さんのところへ買い付けに行き、持ち帰ったその日のうちに出荷しています。冷凍でお届けする鮎も、持ち帰ってすぐに当店で急速冷凍し、鮮度を保って保管しています。
釣り師さんから岸本さんへ、そして岸本さんから当店へとつないだ鮎を、少しでも良い状態でお客様へお届けするため、買い付けから出荷まで気を配っています。
岸本さんに聞く仁淀川の天然鮎の香りと身質の魅力
長く仁淀川の鮎を扱ってきた岸本さんが挙げた魅力は、香りと身質の良さです。
「食べたときに爽やかな香りがあり、味はすっきりしていて、脂もしつこくない。川のきれいさが鮎の味にも表れているように感じる」
その背景には、鮎が育つ仁淀川の環境も関わっていると、岸本さんは考えています。
水底まで透き通るような仁淀川では、川底の石にも光が届きやすく、鮎のエサとなるコケが育つといいます。さらに、水が常に流れて入れ替わることで、そのコケも新しくなっていく。
こうしてエサが良い状態に保たれることで、鮎の香りや身質の良さにつながっているのかもしれません。
仁淀川の天然鮎 おすすめの食べ方
最後に岸本さんにおすすめの食べ方を伺うと「王道は、やっぱり塩焼きですね」と一言。
岸本さん自身は、鮎が育って身の味もしっかりしてくる9月前半頃が、一番おいしいと感じているそうです。卵を持ち始めると身質も変わってくるため、身そのものを味わうなら、それより前の時期がおすすめだといいます。
もちろん、6月の解禁直後の小さい鮎も美味しく、こちらは骨や身もやわらかいため、天ぷらや唐揚げで丸ごと食べるのがおすすめだそうです。
仁淀川で育った鮎ならではの香りと旨味を、ぜひご家庭で
仁淀川の恵みと、一尾を大切に扱う人の手。
その両方に支えられた天然鮎を、
池澤鮮魚はお客様にお届けしています。
まずは塩焼きで、爽やかな香りと
身の旨味をゆっくり味わってみてください。
仁淀川の鮎のおいしさを、
ご家庭の食卓で楽しんでいただければと思います。
