カツオは2月頃になると黒潮に乗り、グアム島沖のマリアナ海域から九州→四国→紀伊→静岡→千葉→仙台まで北上します。8月を境に下り始め、10月には土佐沖、11月末には九州そして台湾からフィリピンとさらに暖かい潮を求め、1年をかけて回遊するのです。
なぜ土佐が昔から有名なのかと申しますと、脂が乗っておいしい5月の初ガツオ・10月の戻りガツオの取れる季節が土佐沖だからなのではないでしょうか。
日本で最も多く取れる土地柄もありますが、カツオ好きな県民性もあり、昔から鮮度の保ち方やおいしく食べるコツ、調理方法をよく知っています。
土佐の国といっても土佐清水から高知それに室戸とでは少しずつ調理方法が異なります。同じタタキといっても「こんなに味が違うのか」と思うほど、それぞれ味が異なります。
しかしながら、基本は同じですので全国的に見ても、おいしいカツオのタタキは土佐伝統の食文化により栄えてきました。
カツオのたたきのルーツ
その昔より土佐の漁師は4月になると、土佐沖の初ガツオを取りに行き、その薄く脂の乗ったカツオを丸ごと食べてきました。鮮度の良いカツオは刺身で味わい、心臓・肝・腸などの内臓は酒・しょうが・しょうゆ・さとう等で味付けして味わい・・・
カツオのタタキのルーツはいろいろありますが、一説には江戸時代の土佐の殿様山内一豊が、高知の領民が生のカツオを食べて食中毒のような状態になったので、それなら焼いて食べろと発したことから生まれたのがカツオタタキの始まりと言われています。
タタキの語源は、昔からの調理法で「生のカツオを四つ割りにして、表面に塩をふり、包丁の面でたたいてから焼く」ところから、「タタキ」の名がつけられたようです。
カツオの表面を焼くという作業は、表面の雑菌を死滅させるとともに、皮の脂を身に含ませることになりいっそう美味しくなるのです。焼くことによって、その魚の持つ「ウマミ」をとじ込め、同時に「生臭み」を消し、その焼く原料(備長炭・わら・ガス)の特性で、タタキの表面を風味豊かに香りづけするところから、近年の冷凍技術の進歩と相まって、大きな商品・食材として成長してきました。