えっ!ウツボってたべれるの?
高知県民のソウルフード!うつぼのたたき
実は高知県の伝統食としてカツオのタタキと共に愛されているウツボのタタキ!淡白なのに濃厚な味で食通もうなる程の美味しさなんです!
柔らかくて、程よい弾力があり上品な甘さがありフグにも似た高級食材です。
海のギャングとも呼ばれる、程獰猛でグロテスクな見た目とのギャップが、一度食べるとその美味しさに納得し、何度も食べたくなる珍味と言われる理由でしょう。
うつぼを捌くには特殊な技術が必要!
うつぼはベテランの魚屋さんでもさばけない程難しく、専門の伝統技術が必要です。その技術は門外不出と言われ、取得するのに数年かかります。
うつぼの身の中には、曲がった約2cmほどの小骨が100本以上並んでおり、しかも分厚い皮と肉の間にピタっとくっついているんです。
うつぼって栄養があるの?
ウツボの栄養価として、良質なタンパク質やカルシウム、鉄分などが多く含まれております、さらにウツボの皮には100g中に20gも豊富な天然コラーゲンが含まれており、高知では昔から「土佐の美人食」「産後にウツボを食べさせると母乳がよく出る」などといわれています。
また、伊勢海老やタコ、貝を食べるウツボは「滋養強壮」にいいとされています。
【ウツボのたたきのルーツ】
池澤鮮魚に伝わる土佐のウツボのお話
秋の神祭に「これがないとお客にならん」というほど、土佐市高岡町近辺や須崎市などでは、昔からうつぼのたたきが人気でした。ウツボが高知市内の鮮魚店に出回るようになり、料理店でも仕入れるようになったのは昭和三十年代からです。
それまでは一部の人にしか知られてなくて、一般的にはグロテスクな容姿を見たら食べる気がしない、といのが心情でしょう。どちらかといえば"下魚"(下等な魚)の仲間で、値段も安かったものです。
ところが近年は、淡白で身がしまり、特に皮が美味なところから評判が広がり、高級魚なみの値段です。ウツボは一尾買って家庭で料理、というわけにはいきません。三枚におろしたり、下半身の骨抜きなどは技術を要し、専門家に任せた方が無難です。
ウツボ料理は肛門から上をたたきや刺身、下は骨抜きし、空揚げや天ぷら、煮こごりなどに用いるのが一般的です。
◆うつぼのたたきは中まで焼く◆
うつぼのたたきが古くから行われているのは土佐市、須崎市、中土佐町などで、中でも土佐市が発祥の地として最も有力というのが通説のようです。
ウツボ漁で知られる須崎市池ノ浦の古老は、
「昔は釣った魚で値のするものは宇佐の市場へ揚げよった。値のせん(しない)ウツボや小魚は家内がカルイ背負うて横浪半島の山を北側へ下り、舟で対岸の灰方へ渡り、山を越して戸波の方へ売りに行きよった。
けんど向こうでは、ウツボの料理を知らんきに、行った先でたたきの仕方を教えちゃった。昔のことじゃき売るとゆうより、米や麦との物々交換よ。
ウツボのたたきは中まで焼く。これはカツオのように表面を焼いただけでは身が堅いき、うもうない。昔、池ノ浦では、そこら辺にある木を切ってきて焚き、その後にオキで焼きよった。」
また須崎市との関連については、
「いつごろからじゃろうか忘れたが、竹篭でウツボ漁をするようになった。けんど池ノ浦では籠ができんき、須崎の籠屋へ注文して作らすようになった。」
と話していました。
(土佐料理研究家 宮川逸雄氏著書より抜粋)